関節疾患

 人では高齢になるとほとんどの人に何らかの関節疾患が起こる言われており、 加齢に伴って発生する変形性関節症がよく問題になります。 日本人の変形性関節症の発生数は膝:2530万人 腰:3790万人とされています。



変形性関節症とは



 慢性的な関節疾患によって生じる関節の変形、それにともなう痛みや関節機能低下を引き起こす症状のことをいいます。
変形性関節症
 10歳以上の老齢犬でも約44%が変形性関節症および変形性脊椎症に罹患しているというデータがあります。 しかし、変形性関節症の犬の約半数が明確な症状を出さないことが多く、また飼い主も関節痛の症状だと気づかないケースが非常に多いです。

 以下のチェックシートに当てはまる症状があれば、それは変形性関節症を含む関節疾患を起こしている可能性があります。



痛みチェックシート

 特に変形性関節症を起こしやすい高齢犬や好発犬種では日ごろから注意深く観察してあげるとよいでしょう。 (ポメラニアン、シェルティー、コーギー、ラブラドールレトリーバー、フレンチブルドックなど)






変形性関節症の原因



関節の病気



 正常な関節面は軟骨で覆われており、周囲を関節包で包まれています。関節の中にはネバネバした関節液という液体で満たされており、 潤滑剤としての役目と,関節軟骨の栄養の維持を担っています。
関節構造



 関節疾患にかかると軟骨の損傷が起こります。軟骨は痛みを感じないので、関節の異常を認識するのは周囲の滑膜に炎症が起こったときや、 軟骨が薄くなって骨同士がぶつかるようになったとき、関節を支える筋肉に炎症が波及したときなどに初めてわかります。そして一度なくなった軟骨は再生しません。
関節の痛み



 さらに軟骨損傷により滑膜から炎症性物質放出され、関節炎を起こします。その炎症によりさらに軟骨が破壊されるという負のスパイラルにより、関節内での炎症が延々と継続してしまいます。 結果、慢性的な痛みや関節の機能低下を起こします。損傷をうけた関節は決して元通りには戻りません。
関節の病態進行



 関節に炎症が起きている子は症状がひどくなってからではなく、できるだけ早く炎症を抑え、軟骨を保護する治療をしなければなりません。






関節疾患を起こしている症例に行う機能的保護



関節の保護治療は、いくつかの方法を組み合わせる多面的管理で行います。
多面的管理



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