犬 歯科症例 1ページ目



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犬の歯石取り


犬スケーリング前  歯面全体に重度の歯石付着が見られた症例です。  歯肉が赤く腫れて歯肉炎を起こしていました。






犬スケーリング後  歯石を取った後の写真です。
 歯表面の歯石を取る処置(スケーリング)と歯肉ポケット内の歯石を取る処置(ルートプレーニング)を行い、 仕上げに研磨(ポリッシング)を行いました。  歯肉へのダメージがほぼなく、歯周病に進行していなかったため経過は良好でした。







臼歯が折れた犬の保存治療


犬破折 治療前01  左上の4番目の臼歯が折れています。
 この子は硬いおもちゃを噛んでしまったため折れてしまいました。






犬破折 治療前02  折れた破片が歯茎にくっついたままになっており、剥がすと神経の部分から出血が見られました。






犬破折 治療中  この子はまだ若くて、歯がきれいな状態だったので保存治療を試みました。  神経を抜いてつめものをする方法で保存しました。






犬破折 治療後  表面を光で固まる樹脂で埋めて、形を整えて終了です。






犬破折 治療前レントゲン  治療前のレントゲン写真です。
先端が折れています。根っこに感染の兆候が無いで保存可能な歯でした。






犬破折 治療後レントゲン  治療後のレントゲン写真です。
 この歯は根っこが3本あるので、3本とも神経を抜いて詰め物をしています。










臼歯の中程度歯周病に保存療法を行った症例



犬 歯周病 保存 治療前  中程度の歯周病になっていたミニチュアダックスフンドです。
左下の後臼歯に歯石が付着してます。




犬 歯周病 保存 レントゲン  レントゲンで確認したところ、歯槽骨(歯を支えている骨)が吸収されているのがわかりました。
 




犬 歯周病 保存 歯石除去後  歯石を取った後の写真です。骨がなくなり、歯根(歯の根っこ)が露出しているのがわかります。
 ここで抜歯か、保存かを検討しますが、飼い主さんが保存をのぞまれたため、
 また、家でハミガキができるとのことだったので今回は保存を選択しました。
 


犬 歯周病 保存 治療後  歯肉組織が十分に残っていたので、もとの高さまで戻して歯根に再付着させます。
 歯と歯肉をきれいにして、縫合しました。




犬 歯周病 保存 二週間後  二週間後の写真です。歯肉が歯根に付着していることがわかります。








歯肉腫瘤ができた症例



犬 線維性歯肉腫 切除前  1ヵ月ほど前から左上の歯肉にできものができていたヨーキーです。
 見た目はそれほど悪くなさそうですが、それだけでは判断できないので切除して検査をします。





犬 線維性歯肉腫 切除後  切除後の状態です。
 病理組織検査では線維性歯肉腫でした。
歯肉腫というのは歯肉にできる腫瘤で、腫瘍性と非腫瘍性ものがあります。 線維性歯肉腫は限局性線維性過形成とも呼ばれ、非腫瘍の良性腫瘤です。
 切除後は基本的に良好ですが、たまに再発するので要経過観察です。







上顎第4前臼歯の破折に対して抜歯を行った症例


 犬が固いおもちゃや石などを噛んだ時に奥歯が折れることがあります。特に上顎の第4全臼歯は最も折れやすい場所です。 

 犬でも歯が折れて歯髄(神経)が見えると、ごはんを食べる時の痛みが明らかに増えるという報告があります。 しかし、犬は極めて平然としていて、言葉で痛みを伝えることもできないので、歯が痛いという明らかな兆候を示しません。 これは自然淘汰の成り行きであると考えられています。

 自然界では、弱っていることや痛みがあることが見た目で分かる動物は群れから間引かれ、結果として死んでしまいます。 動物はボスとみなしている飼い主に間引かれることを恐れて、歯の痛みをほとんど示さないのであろうと思われます。 それがまた、歯の破折が見逃されやすい原因になっています。

 このように見かけ上痛みがないように見えると、破折歯を『大したことなさそうだ』と無視してしまいます。 しかし、破折歯を治療して2週間もたてば、飼い主さんは犬が『5歳若返った』と感じるくらい元気になることが多いです。 また破折歯を放置することで感染により動物の全身を日々蝕む、慢性疾患状態に至ることもあります。

 以上のことから、破折歯を見つけたら必ず治療をするべきだと考えます。



犬 108破折 抜歯前  今回の子は上顎第4前臼歯が折れていましたが、原因は不明でした。飼い主さんが知らない間に何かを噛んでしまったのでしょうか。
相談の結果、保存よりも抜歯を選択することになりました。



犬 108破折 抜歯後  抜歯後の写真です。
 歯肉粘膜フラップを形成して縫合しました。
2週間後の再診時には完全に癒合しており、痛みもなく元気にしていました。
 今回は飼い主さんが早く気付いたおかげで、迅速に痛みをなくす治療をすることが出来ました。日ごろからおうちの子の様子をよく見ている飼い主さんに感謝です。






犬歯に生活歯髄切断法を行った症例


 生活歯髄切断法とは、歯を切断して神経を生かしたまま表面を埋めてしまう方法です。不正咬合など犬歯によって口腔内に不具合が出ている場合や行動コントロールのために行うことがあります。
 歯を生かしながら切断するので、歯の感覚を残したまま保存することができます。また比較的手技が簡単なので早く処置をおえることができます。
 しかし、人間の歯医者と同様に、処置後に埋めた部分の下で細菌が繁殖して痛みが出てくることがまれにあります。そのため定期的な検診が必要になります。
 今回は、行動コントロールのために犬歯4本に対して生活歯髄切断法を実施しました。



生活歯髄切断法  まず、切歯(前歯)と同じくらいの高さで犬歯を切断します。
窩洞を(穴)を形成していくと、出血する歯髄が確認できるのでバーで歯髄を切断します。
その上に、水酸化カルシウム、グラスアイオノマーセメント、ボンディング材を順に重ねていきます。
最後に表面をコンポジットレジンで埋めて、研磨して形を整えれば終わりです。
一本につき大体20分〜30分くらいで終わります。




犬 上顎切断後  上顎の犬歯の処置後の写真です。
犬歯が短くなり、表面が歯と同じ色の樹脂(コンポジットレジン)で覆われています。






犬 下顎切断後  下顎に対しても同様の処置を行いました。
処置後は痛みコントロールをして、半年後、一年後に感染兆候がないか検診をします。






上顎後臼歯に重度歯槽骨吸収があった症例


 歯周病の進行により歯槽骨の吸収が起こり、歯の動揺が見られることがあります。
 時折、見た目はあまり悪くないのに内部で病状が進行している例があります。
 特に、見えにくい後臼歯などでは発見が遅れることが多いです。
 



209 X-ray  レントゲンで左上顎第一後臼歯(209)周囲が黒く抜けているのがわかります。
 歯周病により、歯槽骨吸収が進行した結果と思われます。







109 X-ray  反対側と比較してみるとよくわかります。
 左上顎第一後臼歯(109)の周囲は白い骨組織が十分に残っているのが見えます。






209 処置前  209は奥の方にあるので普段はあまり目につきません。
 この子の場合は、見た目では重度の歯周病とわかりませんでしたが、触れてみると動揺が激しく、プローブを用いた検査で深い歯周ポケットがあるのが確認できました。






209 処置後  209と210が保存不可だったので抜歯を行いました。
 フラップを形成し、縫合しています。






上顎第4前臼歯の破折に対して抜歯を行った症例 その2





前4破折 抜歯前  左上顎第4前臼歯の破折症例です。
 長期間放置されていたため、歯石が付着し茶色く変色していました。
 前回も同様の症例がありましたが、それだけ同部位を折る子が多いということです。






模型横  上顎第4前臼歯が折れやすい理由として犬の咬合の特徴があります。
 犬の歯は人と違い、上下の歯が直接ぶつかり合うように咬合しません。
 上下の歯は互い違いになり、ハサミ状に噛み合わさります。





模型前  そのため、硬いものを噛んだ場合、上顎第4前臼歯には外側に曲がる力が、 下顎第1後臼歯には内側に曲がる力がそれぞれ加わります。
 上顎第4前臼歯は下顎第1後臼歯に比べて、小さく薄いので上顎第4前臼歯が折れる確率が高くなるのです。





レントゲン  今回の症例は幸いなことに歯根への感染や歯周病を起こしてはいなかったので保存可能でしたが、 飼い主様との話し合いにより、抜歯を選択しました。






前4抜歯後  抜歯後、歯肉フラップを形成、縫合しました。







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