先制医療


 先制医療とは、病気の発症前に発症予測あるいは発症前診断を行い、 病気の症状や重大な組織の障害が起こる前の適切な時期に治療的介入を実施して発症を防止するか遅らせる医療です。



従来の医療


 疾患には原因がある → 原因を検査で追究 → 薬物、手術で対処

 という流れでしたが、検査で異常や原因を証明できない病気、症状を出さない初期病変、明確な症状を示さないいくつかの疾患には対処が難しいものでした。

病気の例

 また、病気になる前は何もせず、病気が発症してから初めて検査・治療を行うというものでした。
 そもそも、健康と病気の境目はあいまいなものです。そこで近年では新たな医療として発症や悪化の可能性を個別に推定し、 原因治療以外の有効な管理法を選択する方法がとられてきています。



先制医療 〜人で導入されている新しい医療の考え方から〜


先制医療とは
●発症前に発症予測あるいは発症前診断を行う

●病気の症状や重大な組織の障害が起こる前の適切な時期に治療的介入を実施して発症を防止するか遅らせる

●健康と病気の境目はあいまいであるので、医学的な監視を病人だけでなく健康人にまで拡大

●病気を時間軸で捉え、病気になる前段階(病気のリスクがある状態)にまで監視を拡大

●身体内部の遺伝的素因から食生活や環境因子などの身体外部まで監視を拡大

先制医療グラフ



以上のような観点から、生涯に渡るヘルスプロモーション(健康増進計画)を提案します。

 症例の抽出 → 発症前診断、発症予測

 予測的介入 → 発症前の予防的、治療的介入



 品種、年齢、遺伝的背景、生活習慣などはそれぞれ違うため、必要な計画は一頭ずつ違い、一匹ずつ異なります。
 個々に合わせたヘルスプロモーションが必要になります。



具体的に何をするか 〜一般健診と特定検診〜


ヘルスプロモーションに必要なことは、

 1)健康なうちからその子にとっての正常値を取っておくことで早めに対処可能にする(一般健診

 2)特定の疾患のハイリスク群に対する特定検診を行い、早期発見・発症予防を行う



一般健診



犬と猫の健診


特定検診



● 犬と猫の品種好発性疾患に対する検診を数ヶ月〜毎年間隔で行う

● 一般健診で見つかったリスクに対して、定期的な検診を行う



 たとえば、チワワの心臓の弁膜症に対する聴診、心電図、レントゲン、心エコー検査
 たとえば、レトリバーの股関節形成不全に対するレントゲン検査
 たとえば、シュナウザーの高脂血症からの膵炎に対する血液検査
 たとえば、スコティッシュ・フォールドの関節症に対するレントゲン検査
 etc...


 ※ おうちの子の品種好発性疾患については個別にお尋ねください



治療的介入、管理方法 〜統合医療的介入〜


 統合医療とは、近代西洋医学と代替療法や伝統医学を組み合わせて行う療法です。
 強力な医薬品を使用しない介入で、安全性と有効性について質の高いエビデンス(その治療法がよいとされる科学的根拠)があるものまたは理論的に正しいと思われる方法を選択します。

代替療法



 一般的に従来の通常医療とみなされていない、さまざまな医学、ヘルスケアシステム、生成物など

【天然物】
 ビタミン、プロバイオティクス(善玉菌)、サプリメント、健康食品など

 これらを用いた介入を行うことで、病気の発症を防止するか、または遅らせるように試みます。



 ただし注意が必要なのは代替療法で病的状態を改善できるわけではないという事です。
 これらの介入はあくまで発症予防がメインで補助的に用いるものですので、すでに発症している病気に対しては医薬品を用いた近代医学による治療を行うべきだと考えます。



 当院では、一般健診、特定検診は随時受け付けていますのでお気軽にご相談ください。
 一緒におうちのペットのヘルスプロモーションを考えて生きましょう。



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